銀座 高橋洋服店

Tailoring 高橋洋服店の仕立て

Bespoke

全てが叶う 高橋洋服店の背広 
あなただけの一着を

背広の型には1920年代頃から大きな変化はなく、ある意味背広のスタンダードがあります。そこがモードとは違うところで、モードは毎年の流行(まさしくモード)に左右されますが、背広には決まった型があり、装い方にも正しさがあるのです。私たちは「正しい背広」というのもが存在すると考えています。同時に「正しい背広」をご提供することを使命と思っているのです。

ただ、それぞれの注文洋服店ごとにスタンダードに対する考え方の違いはあります。
それが「ハウス・スタイル」と呼ばれるもので、それぞれのお店に確立されたその店独特のスタイルがあるのです。

当店では、創業以来およそ120年にわたって培われた高橋独自のスタンダードすなわちハウススタイルがあります。それは当店の店主がその時代ごとに理想とする洋服でもあります。スタンダードであっても、過去に縛られることなく、一方よき伝統を引き受け、受け継ぎ、少しずつ進化させているものなのです。

高橋の洋服はこのスタンダードに従って、心を込めてお作りさせていただいております。このハウススタイルをご理解いただき、多くのお客様に愛される洋服をご提供できれば甚だ幸いかと存じます。

0.ヒアリング

徹底したヒアリングでお客様に最適な背広を。

 ご来店いただいてから、まず、お客様にいつどこでどんなオケイジョンでお召しになるのかお伺い致します。

 ご予算、お好みに合わせて1000以上ある生地、生地見本の中から最適な生地をお勧め致します。生地をお選びいただき、どの様な背広をお望みかお伺い致します。上下なのか三つ揃えなのか、上着はシングルかダブルか、ゆったり目がお好きなのかタイト目がお好きなのか等々、細かなご要望にもできる限りお応えしたく存じます。もちろんすべて私共に全てお任せいただいても構いません。普遍的な背広をお納めさせていただきたく存じます。

 ジャケットのみのご注文やジャケット&トラウザースのセットアップスタイル、替え上衣や替え上下についても同様に承っております。

 

1.採寸

寸法を測るだけではない高橋独自の採寸

 高橋洋服店では、接客を担当させていただいた裁断師が、お客様のご寸法を頂戴致します。裁断師はただ寸法を測るだけではありません。経験に基づかれた、体型補正を加味した採寸を致します。

 注文洋服の肝は体型補正にあります。身体が厚いのか薄いのか、反っているのか前屈みなのか、いかり肩なのか、なで肩なのかetc…

 お客様のご体型のクセを加味しながらご寸法をいただきます。

体形補正の説明

 背広において最も重要なのは体型補正であると考えます。
人間の体は、一概に寸法を求めただけではどの様な体型なのかわかりません。例えばバスト90㎝であっても、丸みのある90㎝なのか、平べったい90㎝なのかで体型は全く異なります。また背筋がピンと伸びた方、背中が丸い方、なで肩の方、いかり肩の方等々、数値だけでは現れない部分が多々あります。そのような体型のクセをしっかりと見抜き、型紙に反映させることを体型補正と言います。

 また、体型に合わせるだけでなく、どの様な背広がお召しになりたいかでも型紙は大きく変わってきます。例えば座っている時間が長いから座って楽なトラウザースが良い、とか、人前で話すことが多いから姿勢が良い状態に合わせて背広を作りたい、等のご要望にも出来る限りお応えいたします。

2.型紙作り

百年超の歴史ある伝統的な型紙作り

 型紙作りは背広作りにおいて最も重要な工程です。
ベースは初代が作り上げたものですが、そこに、歴代当主が少しずつ味を加え現在の型紙作りが完成しています。

 線を引く、紙を切る、すべてが手作業で行われます。手で線を引くことにより、微妙な補正や、線の引き加減で調整が可能になります。
独自の型紙作りは頂戴したご寸法、体型補正を加味し出来上がります。細かい補正やお客様のデータなどはすべて型紙に書き込まれます。

 ご納品後も型紙は丁寧に保管されます。

3.裁断

手作業による裁断

 全てのご注文は店内において裁断師によって手作業で裁断されます。
ただ線を引き、ただ生地を切るだけではありません。

 柄合わせ、生地の地の目通しなど全てが裁断師によって行われます。

4.仮縫い組み

最初の“縫い”の作業

 裁断された生地は弊社アトリエにて組み上げられます。
仮縫い組みもすべて手作業で組み上げられます。

5.仮縫い(フィティング)

伝統的な技術を身に付けた裁断師によるフィティング

 出来上がった仮縫いのお洋服を実際にご試着いただきます。

 ご本人様、そして私共の理想通りに出来上がっているかをよく確認させていただきます。出来るだけリラックスしてご試着いただきたく存じます。

 詳細な体形補正の最終チェックをいたします。

・トラウザース
 ベルトの止まる位置、太さ、長さ、クリースラインが綺麗に落ちているか、タックが開ききっていないか等をご確認させていただきます。

 まずベルトの止まる位置を確認していただきます。トラウザースの止まる位置はお客様其々でお好みが異なります。一番良き所に設定させていただきたく存じます。(ウェストコートをお召しになる場合、ベルトがウェストコートから露出してしまうと見苦しいので、予め股上は深く設定させていただいております)

 次に太さ、長さのご確認です。お客様のお好みに合っているかどうか確認させていただきます。
 最後にウエストのご寸法を再度頂戴いたします。

・ウェストコート
 バランス、大きさ、長さの確認を致します。前丈はベルトが隠れる長さ、ベルトレスの場合でもウエスマン(腰帯)が隠れるように設定致します。
背丈はトラウザースのテッポウガクシ(後ろポケット)の辺りまで来るような長さに設定致します。最近、ウェストコートからベルトが完全に露出していたり、ワイシャツが出てしまっていたりするデザインが散見されますが、私共ではそのようなモノはお作り致しません。

 ウェストコートは出来るだけタイトにお作り致します。ウェストコートが大きすぎると、上衣の中で動いてしまい大変にお召しになりにくくなってしまいます。

・ジャケット
 パッとお羽織いただいた第一印象がまず大事になります。窮屈なところはないか、逆に大きすぎるところはないか、よく確認させていただきます。

 肩幅、袖丈が決まれば後はバランスをよく拝見させていただきます。
ジャケットは逃げてしまったり拝んでしまったりすると大変お召しになりにくくなってしまいます。

 出来るだけお召しになりやすく、且つ見た目もよろしいように調整をさせていただきます。

 背広は出来上がった時のバランスが大事だと思っております。
フィティングでしっかりとバランスを確認させていただき、出来るだけ一度の仮縫いで済ませる様に致しております。

 一度目の仮縫いで大きな補正が出た場合、複数回の仮縫いをお願いすることもございます。

6.補正、本縫い裁ち

再び型紙へ

 フィティングで拝見した修正点を型紙に反映させます。
大きな補正があればまた一から型紙を起こし直します。

 型紙が完成しましたら、本縫いの裁断を致します。

7.本縫い

熟練した職人による本縫い

 本縫い断ち後、上着、トラウザース、ウェストコートは其々の職人に裁断師の詳細な指示とともに渡されます。

・芯作り
 使われる芯はすべて手作りで作られています。それぞれの生地に合わせた芯地を使用し、またそれぞれのお客様に合わせて芯作りを行っております。
芯を手作りすることでヴォリュームのある洋服に仕上がります。

・上衿かけ、ラペルの返り
 上衿は首に吸い付くように作られなければなりません。
しっかりとクセがとられ、手でかけられた上衿は機械縫製とは違う着心地を生みます。

 ラペルはふんわりとロールするように返されます。

・肩入れ、袖つけ
 肩は機能的な”前肩”に作られます。”前肩”にできている洋服は肩が窮屈になりません。
そこにヴォリュームのある袖を付けます。熟練の職人による袖付けは機械縫製よりもより機能的で着ていて苦になりません。

・トラウザースのクセ取り
 着用しやすいトラウザースは生地がきれいにクセ取りされています。
膝から上は脚の形に沿うようにきれいにクセ取りが施されます。

8.納品

あなただけの一着を…

 完成した洋服をご試着していただきご納品となります。

補足

高橋洋服店の裁断師(カッター)

 弊社における裁断師とは接客、採寸、型紙作り、生地の裁断をする人を指します。全ての裁断師はまず裁縫師の勉強を数年にわたり致します。その後、折を見て裁縫師になるか、裁断師になるかを高橋が見極め、どちらかの道を進むことになります。
縫えないと型紙は起こせません。またその逆もしかりです。その為弊社ではスタッフ全員に必ず裁縫も裁断も勉強させております。
弊社には単なる営業マンはおりません。店に立つ人間はすべて裁断師です。安心して何なりとご相談くださいませ。

高橋洋服店の裁縫師(テーラー)

 全ての洋服は高橋洋服店のすぐそばにある弊社アトリエにて縫い上げられております。そこにいるのが裁縫師です。彼らは数年の修行を経てお客様のお洋服を縫い上げられるようになります。弊社では全ての裁縫師が一着のほとんどすべての工程を一人で縫い上げます。現在の工場生産品はブロック縫いが基本で、ひとりひとりが一つの工程をこなすことになりますが、弊社はそれを良しとしません。
一人の裁縫師が責任をもって一着を縫い上げる、それが良い洋服を縫い上げる最も優れた方法だと考えているからです。

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