第35回 身嗜み
2023.02.13
先日お客様との雑談の中で、服装の乱れが話題になりました。
内容を要約すると:
1月にコロナでここ数年自粛していた主な取引先の金融機関数件に新年の挨拶に行ったところ、或るメガバンクで応対に出てきた支店長に相当する担当部長、担当課長そして担当者3名のうち、担当部長がノーネクタイだった。課長はきちんとネクタイを締め三つ揃えのスーツ姿、担当者もノーネクタイだった。
通常の営業日にフラッと尋ねた時ならいざ知らず、事前にアポを取り、しかも年の始めに、お互いに「本年も宜しく」という挨拶を交わす場に、ノーネクタイは如何なものか。しかも若手の一担当者ならいざ知らず、あろうことか、その支店を代表する立場にある部長職(その支店は部長職が2名居て、うち一人が一応支店長という役職に居るが、席次は同格らしい)が、新年に取引先から表敬訪問を受けるのに“ノーネクタイ”で対応するとはナニゴトか。
三つ揃えにネクタイを締めていた担当課長の方がよほど立派に見えた。
という内容の話をされていました。
部下に当たる担当課長がスーツにネクタイ姿だったところを見ると、銀行としてネクタイを禁止しているのではなさそうです。
数年前にあるメガバンクが「営業職以外で、お客様対応の仕事が無い場合は、年間を通じてノーネクタイで構わない」という趣旨の通達を出して話題になった記憶があります。
その趣旨は、ノーネクタイでリラックスして仕事に精を出しなさい。という事だと理解しています。
裏を返せば、ネクタイをしていると窮屈で仕事に集中できない、という事では無いでしょうか。しかし中にはきちんとしていた方が仕事に集中できる、という意見も無きにしも非、です。
いずれにしても、ネクタイを禁じたわけではなくオケージョンによっては個人の自由選択という事でした。それでも「お客様対応が無い場合は」という条件付きです。
クールビズ スーパークールビズの期間ならいざ知らず(この件に関しては本稿でも何回も述べていますので、今回は触れませんが…)新年の表敬訪問対応時に“ノーネクタイ”。話を伺って、失礼も甚だしいと感じました。
“身嗜み”という項を辞書で引いてみると:
身の回りについての心がけ。頭髪や衣服を整え言葉や態度をきちんとする事。教養として武芸 芸能などを身に付ける事。またそれらの技芸
(広辞苑)
他人に不快感を与えないよう礼儀作法を守り、身なりなどを整えること。指導的な階級の人に要求される相応な教養や芸事
(新明解国語辞典)
いずれにしても身嗜みは教養なのです。かつて財界の重鎮のお一人が、「装うことは教養です」とおっしゃったことを、今一度肝に銘じるべきではないでしょうか。