Concept 私達はこのようなコンセプトで本物の洋服作りを続けています

5.いいものを長く愛用する

人それぞれの価値観は違います。一着5万円の既製服を“使い捨て”と割り切ってシーズンごとに数多く購入する。そうすれば常に新品、トップ・ファッションに身を包むことができるかも知れません。しかし新品であったり、トップ・ファッションに身を包むことがそれほど大切なことでしょうか。購入価格が安い洋服は、取り扱いもそれなりになってしまい、結局は長持ちしなくなるでしょう。確かに最初は大きな投資になっても、大切に取り扱えば価格以上に長持ちするのが注文服です。
仮に毎年20万円を背広に投資をするとします。Aさんは毎年5万円で最新の背広を4着づつ購入して使い捨てにします。ですから常に新品、しかもいつも最新のデザインの背広を着ています。Bさんは1年に1着だけ20万円の注文服をオーダーして、手入れをしながら10年以上大切に着ることにしています。10年後を考えた時、Aさんの手元には5万円の背広が4着あるだけですが、Bさんの手元には20万円の背広が10着残ります。5万円の背広はたとえ新品であっても、しょせんは5万円。一方20万円の背広は10年経っても本物の洋服としての価値と満足感を堪能していただけるはずです。人それぞれの価値観の問題ですので、どちらが正しいのか、ということではありませんが、どちらが豊かな気持ちになれるのでしょうか。
日本の民族衣装である和服では、本物は仕立て直して親から子へ、子から孫へと譲り伝えられる文化がありました。洋服もかつては父親の背広を仕立て直して、成人した息子へ譲った時代がありました。これはすべて本物だからできたことで、既製服では決してできないことなのです。
エコ、エシカル、LOHASといったような言葉が盛んに聞かれる今日、“消費は美徳”の時代は完全に幕を閉じました。ファッションの本場ヨーロッパでは、ファスト・ファッション業界に陰りさえ見え始めています。健康を阻害しかねないような化学繊維を多用し、安価な労働力を利用した大量生産の衣料をきわめて短いサイクルで更新し続ける産業は、大量の流行遅れ品を廃棄するために、ごみを増やし続ける結果になるということからです。これでは技術の伝承も文化の継承も望めません。心ある消費者が離れてゆくのも無理からぬことでしょう。
私共が作る洋服は正にこれと対極にあると申せましょう。男性のお洒落はファッションであってはならないと考えています。厳選された天然素材を使用し、伝承の技術を習得した職人達が一針一針丹精込めて縫い上げた本物の洋服は、デザイナー・ブランドの洋服のように時代とともに現れては消えてしまう泡のようにはかない存在ではありません。時代の移り変わりに影響されることなく、自分自身をしっかりと表現するための“スタイル”を確立するツールなのです。そして、ご寸法直しをはじめとした各種のメインテナンス次第では10年、15年のご着用に耐えうる、まさにエコ、LOHASそのものと呼ぶにふさわしいものなのです。
個性化、多様化が一段と進む世の中で“もの”は溢れかえっていました。しかし今、時代は“無駄”を排除する方向へと進み始めています。“よいものを長く愛用する時代”、“本物が見直される時代”へとシフトが始まっていると感じています。私共は、そのような時代のニーズにお応えすべく、“本物の洋服作り”にこだわり続けております。

  • 1.誂える時代から買う時代へ
  • 2.サイズのあった背広ならよいのか
  • 3.注文服の味は心の満足
  • 4.注文服の価値は技術料、安心料そして満足料
  • 5.いいものを長く愛用する
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